2017/10/30
膝前十字靱帯断裂について
膝前十字靱帯は太ももの骨(大腿骨)とすねの骨(脛骨)の間に存在し両者をつないでいる靱帯です。サッカー、バスケットボール、バレーボール等のスポーツで膝を捻ったりした際、断裂しやすい靱帯であり断裂すると膝痛が出現し、痛みや脹れで歩行困難となることが多い損傷です。受傷してから、徐々に痛みは軽くなっていき、日常生活も支障がない状態になることが多いですが、靱帯が断裂したままでいると膝の不安定性が出現し、膝崩れなどがおこり、スポーツをするのが困難となります。
また、前十字靱帯が断裂したままで長期間放置することで、軟骨や半月板の損傷がおこり、変形性膝関節症を発症し早く年齢の高い膝になってしまう可能性が高いとされています。そのため断裂した場合には靱帯再建術などの治療が必要です。
症状
- 膝の中の出血,膝の腫脹
- 膝痛
- 膝の不安定感、膝崩れ
検査
まず、受傷状況を問診し、膝の診察にて膝の不安定性などを調べます。
その後、レントゲン撮影を行い骨の異常等を確認し、MRIにて靱帯損傷、半月板、軟骨損傷等の有無を詳しく調べます。
治療
基本的には一度断裂した前十字靱帯はギプスや膝装具などの治療で自然に治る可能性が低く、手術的な治療が必要となることが多いです。ただ、年齢や活動量や症状により手術して治療したほうがよいかどうかを考えます。
手術的治療
関節鏡視下靱帯再建術
- 断裂した靱帯を縫合してもすぐ再断裂してしまうため、新しく靱帯を作る必要があります(再建術)
再建靱帯として使用する組織
1.太ももの内側の筋肉を使用(半腱様筋腱など) - 関節鏡(内視鏡)を使用し、比較的小さい皮膚切開で手術を行います。
- 靱帯を再建してすぐに靱帯として強くなるのではなく、約1年かけて徐々に強くなっていきます。
2.膝の前面の靱帯を使用(膝蓋靱帯)
術後リハビリ
- 術後約2週より膝装具をつけて歩行練習開始
- 術後約6か月以降よりジョギング開始
- 術後約10か月~12か月でスポーツ復帰