永頼会誕生60周年を迎えて
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理事長 山本 祐司
一般財団法人永頼会 松山市民病院
理事長 山本 祐司
2024(令和6)年1月1日発生の能登半島地震によりお亡くなりになら
れた方々に謹んでお悔やみ申し上げますとともに、被災者の皆さまには心からお見舞い申し上げます。被災地の皆さまの安全と一日も早い復興をお祈りしております。
さて、コロナ禍が始まって以降4年目を迎えました。日本の医療機関では、まだインフルエンザや寒さ対策も含め、マスクが外せない患者さんや医療関係者がほとんどです。愛媛・松山医療圏の諸機関・施設等の皆様には、毎年、松山市民病院との連携・交流をいただき感謝申し上げます。
昨年、世界ではウクライナ戦争継続に加えて、10月にはイスラエル対パレスチナ・ハマスとの戦闘が始まりました。民主主義と専制主義のイデオロギー「対立」や、民族・宗教の「壁」による「分断」が背景にあるのは明白です。
国連やWHOなど国際機関が世界に協力・協調を求め続けていますが、SDGs(持続開発目標)活動よりも紛争解決能力の低下が露呈した1年でもあり、国連改革への取り組みが急がれています。世界はこのような不安定要因ばかりの中、今年も世界情勢の動向に目が離せません。
日本では岸田政権が、こども家庭庁発足、広島サミットまでは良かったものの所得税減税等での説明不評、派閥のパーティー券裏金疑惑などで支持率は過去最低となっています。
医療界では、いよいよ今年4月から、医師の時間外労働が年間960時間(A水準)等の上限規制が始まりました。勤務間インターバルの確保などが義務付けられ、勤務医の健康確保措置が規定されます。当院ではほぼクリヤーできており、各大学との連携による医師確保や医師事務作業補助者・関係職種などとのタスクシフト・シェアで一丸となって乗り切るべく準備しています。
また、医療、介護、障害福祉サービスのトリプル改定も4月に行われました。診療報酬本体改定率は+0.88%(+822憶円)、内訳は実質+0.46%(40歳未満職員賃上げ措置分+0.28%含む)、また看護職員、病院薬剤師、その他医療関係職種の処遇改善(賃上げ)部分が+0.61%で、一方薬価などは-1.0%などと医療機関経営や患者負担には厳しいものとなっています。「リハビリ、栄養管理、口腔管理の一体的実施」を診療報酬でも強力に進めていく方向性についてはポジティブにとらえたいと思います。
少子・超高齢化社会、医療の需給の不一致など課題は増えている中での国民・患者さんの医療機関受診抑制も懸念されます。医療・保健・介護・福祉のタテ・ヨコの連携・紹介はますます緊密となり関係職員のアクティビティが求められます。
さて、松山市民病院は1956(昭和31)年6月、「市民による市民のための」病院として、生活協同組合立からスタートし、1964(昭和39)年11月、ちょうど日本が新幹線開業と東京オリンピックに沸いた時に、設立母体が財団法人「永頼会」の松山市民病院に移行しました。
今年2024(令和6)年、干支(えと)の甲辰(きのえたつ)、当院は永頼会誕生60周年の還暦を迎えます。設立理念である「萬世永頼(ばんせいえいらい)」――すなわち「永遠の信頼」を改めて取り戻す年となります。
「地域の信頼に応える病院医療の実践」のスローガンを思い起こし、コロナ禍以後の職員一同の資質向上を促し、あらたな成長を期待し、自身も含め各部署職員の一挙一動に目を向けてみたいと思います。
今後とも一般財団法人永頼会松山市民病院とのご交誼を宜しくお願い申し上げます。